日本語での一人称
【目次の開閉】
私と漢字で書くもの
- あたい
- あたしの変化で、下町や花柳界などの婦女子または子供が使う。
- あたくし
- わたくしのくだけた変化で、主に女性が使う。
- あたし
- わたしのくだけた変化で、かつては男女ともに使っていたが、現在では主に女性が使う。
- あっし
- あたしの変化で、主に職人が使う。
- あて
- 主に京阪地方の庶民の女性が使う。
- わい
- 京阪地方の男性が使う。
- わし
- わたしの約で、近世では主に女性が使っていたが、現在は年配の男性が目下に対して使う。「儂」または「俺」と書くこともある。
- わたい
- わたしの変化で、江戸時代後期は芸娼妓が使い、その後は主に東京下町の女性が親しい人との会話で使う。
- わたくし
- 目上の人に対して、または改まった物言いをするのに使う。
- わたし
- わたくしの約で、わたくしよりはくだけた言い方。男女ともに使う。
- わちき
- 江戸時代の遊女や芸妓が使う。町家の娘が使うこともある。
- わっし
- わたしの変化で、主に男性が使う。
- わっち
- わたしが訛った言い方。職人や遊女が使うこともある。
- わて
- 京阪地方で使われる。もとは女性が使っていた。
- わらわ
- 武家の女性が自分のことを謙遜して使う。「妾」と書くこともある。
僕と漢字で書くもの
- ぼく
- 主に男性が対等もしくは目下に対して使う。現在では親しみをこめた、くだけた言い方として使われる。明治時代から書生や学生が使うようになった。
- やつがれ
- 古くはやつかれと言う。近世以降、男性がやや改まった場で自分を謙遜して使う。
我、吾と漢字で書くもの
- あ
- 主に奈良時代に使われた。
- あれ
- 主に奈良時代に使われた。
- わ
- われの変化。主に平安時代から使われた。
- わぬ
- われの変化。奈良時代の東国方言。
- われ
- ※中世以降は二人称として使われることもある。
- わろ
- われの変化。奈良時代の東国方言。
特定の職業で使われるもの
- 朕 ちん
- 天子(国の君主)が自分をさして使う。中国古代は普通の人も使っていたが、始皇帝から天子だけの自称となった。
- 愚禿 ぐとく
- 僧侶が自分のことを謙遜して使う。
- 愚僧 ぐそう
- 僧侶が自分のことを謙遜して使う。
- 拙僧 せっそう
- 僧侶が自分のことを謙遜して使う。
- 当職 とうしょく
- 現にその職務についている者が自分をさして使う。
- 小官 しょうかん
- 官吏が自分のことを謙遜して使う。
- 小職 しょうしょく
- 軍人・警官・公務員など、官職にあるものが公の場で自分をさして使う。
- 本官 ほんかん
- 軍人・警官・公務員など、官職にあるものが自分をさして使う。
- 本職 ほんしょく
- 軍人・警官・公務員など、官職にあるものが自分をさして使う。
その他
- 迂生 うせい
- 男性が手紙などで自分を謙遜して使う。世事に疎い愚かな人間の意。
- 迂拙 うせつ
- 男性が自分を謙遜して使う。
- 俺等、己等 おいら
- おれらの変化。主に男性が使う。
- 己 おの
- ※二人称として相手を罵るときに使うこともある。
- 己 おのれ
- ※二人称として相手を罵るときに使うこともある。
- 己 おら
- 江戸時代、主に男性が使ったが、女性も使っていた。
- 俺、己、乃公 おれ
- 元来、男女ともに使っていたが、現在では主に男性が同輩または目下の相手に対して使う。
- 愚生 ぐせい
- 主に文章で男性が自分を謙遜して使う。
- 愚老 ぐろう
- 老人が自分を謙遜して使う。
- 吾人 ごじん
- 複数の場合でも使われる。
- 此方 こち、こっち
- 話し手自身をさして使う。
- 此方 こちら
- 話し手自身をさして使う。
- 此方人等 こちとら
- 主に男性が同輩またはやや上位の相手に対して使う。現在では「われわれ」「われ」の意味で戯れに使う。
- 此方人等 こっちとら
- こちとらの変化。
- 此の方 このほう
- 主に男性が目下に対して使う。
- 自分 じぶん
- 主に男性が使う。
- 小生 しょうせい
- 主に文章・手紙で男性が自分を謙遜して使う。
- 拙者 せっしゃ
- 主に武士が自分を謙遜して使うが、同輩または目下の相手に対して尊大な態度で使うこともある。
- 某 それがし
- 鎌倉時代以降、主に男性が自分を謙遜して使うが、後に尊大な意を表す。
- 乃公、迺公 だいこう
- 男性が目下の相手に対して、もしくは威張って使う。
- 手前 てまえ
- 主に男性が自分を謙遜して使う。
- 手前 てめえ
- てまえの変化。てまえのぞんざいな言い方。
- 己、汝 な
- もとは自分自身をさす言い方。転じて相手をさす言い方に変化。
- 不肖 ふしょう
- 主に男性が自分を謙遜して使う。親・師に似ず愚かである意味。
- 麻呂、麿 まろ
- 平安時代以降、年齢・男女・貴賎を問わず使われた。皇族などの貴人が自分をさす言い方としても使われる。
- また「牛若丸」などの人名や名刀、船舶などの名前につく「丸」はこのまろから変化したもの。
- 身共 みども
- 主に武士階級で、同輩または目下の相手に対して改まった感じで使う。
- 野生 やせい
- 男性が自分を謙遜して使う。
- 野拙 やせつ
- 男性が自分を謙遜して使う。
- 予、余 よ
- 主に男性が文章や演説などで、やや尊大な感じで使う。
- 余輩 よはい
- 主に男性が自分をさして使う。
- 老生 ろうせい
- 年をとった男性が手紙などで自分を謙遜して使う。
- 我が輩、吾が輩、我輩、吾輩 わがはい
- 男性が尊大な感じで使う。
関連項目
- 最終更新:2013-02-11 23:57:58